頭部白癬
最近、お子さんの肩に落ちるフケが気になったり、頭をかく仕草が増えたりしていませんか?シャンプーが合わないだけ、と軽く考えているかもしれませんが、そのサイン、実は水虫と同じ「カビ」が原因で起こる「頭部白癬(しらくも)」かもしれません。
ある研究では、世界の約4人に1人がこの病気の原因となるカビに感染すると報告されており、決して珍しい病気ではありません。非常に感染力が強く、ご家庭や学校など、お子さんの集団生活の場で広がりやすいのが特徴です。
単なるフケだと自己判断で放置してしまうと、症状が悪化し、最悪の場合、治療後も髪が二度と生えてこない状態になることも。この記事では、大切なご家族を守るために知っておきたい頭部白癬の正しい知識と対処法を詳しく解説します。
頭部白癬の概要
頭部白癬(とうぶはくせん)は、水虫の原因菌と同じカビの一種が、髪の毛やその根元にすみついてしまう病気です。一般的には「しらくも」という名前でも知られています。
カビが原因の皮膚の病気は、実はとても身近なものです。ある研究では、世界中の約4人に1人がかかると報告されています。その中でも頭部白癬は、特にお子さんによく見られるタイプです。
この病気の原因となるカビは、うつる力がとても強いのが特徴です。自分でも気づかないうちに、周りの人にうつしてしまうことがあります。
感染する経路には、主に次のようなものがあります。
- 人からの感染
- 頭部白癬になっている人と、直接頭や肌が触れること
- 動物からの感染
- 感染している犬や猫などのペットに触れること
- 物を介した感染
- 感染した人が使ったくしや帽子、タオルなどを一緒に使うこと
ご家庭内はもちろん、学校やスポーツクラブといった集団生活の場で広がりやすい病気です。そのため、早めに気づいて対応することが大切になります。
頭部白癬の種類
頭部白癬は、原因となるカビの種類や体の反応によって、見た目が大きく変わります。ご自身の状態を正しく知ることは、適切な治療への第一歩です。
ある研究によると、子どもがかかるカビの病気の中で、頭部白癬は最も一般的なものの一つとされています。主な種類は、以下の4つに分けられます。
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種類 |
主な見た目・特徴 |
髪の毛の状態 |
炎症・痛み |
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落屑斑型(らくせつはんがた) |
・灰白色のフケのようなものが付着 ・円形に皮膚がカサカサする |
髪が数ミリの長さで折れる |
ほとんどない |
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黒点型(こくてんがた) |
・毛穴に黒い点がポツポツと見える ・脱毛範囲の境界がはっきりしない |
髪が皮膚のすぐ上で切れる |
ほとんどない |
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ケルスス禿瘡(とくそう) |
・赤く大きくブヨブヨと腫れる ・膿(うみ)が出ることがある |
髪が抜け落ちやすい 治った跡が瘢痕になることも |
菌へのアレルギー反応で 強い炎症と痛みを伴う |
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黄癬(おうせん) |
・黄色い皿状のかさぶたができる ・独特のにおいがすることがある |
髪が抜け落ちる |
炎症を伴う |
一般的に「しらくも」と呼ばれるのは、この中の「落屑斑型」です。フケが増えたように見えるため、気づきにくいこともあります。
特に注意が必要なのは「ケルスス禿瘡」です。これはカビに対する体の防御反応が、アレルギーのように強く出すぎた状態です。最近では、ペットなどの動物からうつる菌が原因で、重い症状を引き起こす例も増えています。
ケルスス禿瘡は、治療が遅れると毛根が壊れてしまい、治った後も髪の毛が生えてこない「瘢痕性脱毛症」につながる可能性があります。そのため、赤みや腫れ、痛みが強い場合は、すぐに専門医に相談することが非常に重要です。
頭部白癬の原因
頭部白癬は、「皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)」というカビ(真菌)の一種が、頭皮や髪の毛にすみつくことで起こる病気です。
この皮膚糸状菌による感染症は、決して珍しいものではありません。ある研究では、世界中の約4人に1人がかかると報告されています。
皮膚糸状菌は、私たちの髪の毛や皮膚の主成分である「ケラチン」というタンパク質をエサにして増えていきます。そのため、ケラチンが豊富な頭皮や髪の毛は、菌にとって非常に住みやすい環境なのです。
感染のきっかけは、主に次の3つのパターンに分けられます。
- 人からの感染
感染している人との肌の直接的な接触でうつります。近年では柔道やレスリングなど、人と接触する機会の多いスポーツでの感染が報告されています。 - 動物からの感染
菌を持っている犬や猫などの動物との触れ合いでうつります。最近では動物からうつるタイプの菌の重要性が高まっており、注意が必要です。 - 物を介した感染
感染した人が使ったくしやブラシ、タオル、帽子などを一緒に使うことでうつります。
ただし、菌に触れたからといって誰もが必ず発症するわけではありません。汗で頭皮が蒸れていたり、体の抵抗力が落ちていたりすると、菌が増えやすくなり発症のリスクが高まります。
頭部白癬の症状
頭部白癬は、かゆみや痛みがほとんどない場合も多く、ご自身では気づかないうちに症状が進んでしまうことが少なくありません。
ある研究によると、子どもがかかるカビの病気の中で、頭部白癬は最も一般的なものの一つとされています。ご自身やお子さんの頭に、次のような変化がないか確認してみましょう。
【頭部白癬のサイン?セルフチェックリスト】
- フケの増加 シャンプーを変えていないのに、肩に落ちるフケが目立つようになった。
- 髪の毛の変化 髪が途中でプツプツと切れ、短い毛がツンツンと目立つ。
- 部分的な脱毛 円形など、一部だけ髪の毛が薄くなっている箇所がある。
- 頭皮の赤み・カサつき 頭皮が赤みを帯びていたり、皮膚がカサカサとむけていたりする。
- おできやかさぶた ニキビとは違う、膿(うみ)を持ったおできや、かさぶたができている。
これらの症状の現れ方は、原因となるカビの種類や体の反応によって異なります。特に注意が必要なのは、カビに対するアレルギー反応が強く出てしまう「ケルスス禿瘡(とくそう)」という状態です。
このタイプでは、頭皮が赤くブヨブヨと腫れあがり、強い痛みや膿を伴います。治療が遅れると毛根組織が破壊されてしまい、治った後も髪の毛が生えてこない「瘢痕性脱毛症」につながる可能性があるため、一刻も早い対応が重要です。
もし一つでも当てはまる症状があれば、自己判断で様子を見ずに、お早めに皮膚科などの医療機関へご相談ください。
頭部白癬の検査・診断
頭部白癬が疑われる場合、見た目だけで判断するのは困難です。 フケや脱毛といった症状は他の病気でも見られるためです。 そのため、原因が本当にカビ(真菌)なのかを確かめるため、 いくつかの検査を組み合わせて正確な診断を行います。
まず、症状や生活習慣について詳しくお話を伺う問診と、 頭皮の状態を丁寧に観察する視診から始めていきます。 そのうえで、診断を確定させるために以下の検査に進みます。
1. 顕微鏡での確認(KOH直接鏡検法) これは、頭部白癬の診断で最も基本的で重要な検査です。 頭皮のフケのようなものや、症状がある部分の髪の毛を 少しだけ採取し、顕微鏡でカビがいるか直接探します。 採取したものを特別な薬で溶かすことで、カビがとても 見やすくなります。結果がその場でわかるのが特徴です。
2. 原因菌の特定(真菌培養検査) 顕微鏡検査でカビが見つかった場合や、疑わしいのに 見つからなかった場合に行う、より詳しい検査です。 採取したものをカビが育ちやすい特別な環境で育て、 原因となっているカビの種類を正確に特定します。
近年では動物からうつる菌が増えるなど、原因菌も 多様化しています。菌の種類によって治療の選択肢が 変わることもあるため、この検査は非常に重要です。 ただし、菌が育つのに数週間ほどの時間が必要です。
3. その他の検査(ウッド灯検査など) 診断の補助として、特殊な紫外線を出すランプを使い、 頭皮を照らす検査を行うこともあります。 原因となるカビの種類によっては、この光に反応して 特徴的な色に光るため、診断のヒントになります。
これらの検査を丁寧に行うことが、適切な治療への第一歩です。 気になる症状があれば、自己判断せずご相談ください。
頭部白癬の治療
頭部白癬の治療では、原因であるカビを完全に退治します。 髪の毛の内部にまで菌が入り込んでいるのが特徴です。 そのため、塗り薬だけでは薬の成分が届きにくくなります。 治療の中心は、お薬を飲む「内服療法」となります。
カビと戦う「飲み薬」での治療
体の内側からカビに作用する飲み薬で治療を進めます。 頭皮の奥深くや髪の毛の芯にいる菌まで退治するためです。 現在、頭部白癬の治療で主に使用されるお薬は2種類です。
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内服薬の種類 |
特徴 |
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テルビナフィン |
・カビを殺す力が強いのが特徴です。 ・副作用や飲み合わせのリスクが比較的少なく、世界中で推奨されているお薬です。 |
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イトラコナゾール |
・テルビナフィンと同じように、頭部白癬に対して有効性が示されているお薬です。 |
ある研究でも、テルビナフィンはその効果の高さと安全性から、 皮膚のカビによる病気の治療で推奨されると報告されています。 治療期間は症状によりますが、1ヶ月から2ヶ月が目安です。 毎日しっかりとお薬を飲み続けることがとても大切になります。
治療のゴールと日常生活でのケア
飲み薬での治療を助けるために、塗り薬やカビに効く成分が 入ったシャンプーを一緒に使うこともあります。これらは、 頭皮の表面にいる菌を減らし、周りの人への感染を防ぐ 目的で使われます。
ご家庭では、以下のことにも気を配りましょう。
- 頭皮を清潔に保つ
毎日シャンプーで優しく、しかし丁寧に洗いましょう。 - タオルなどを別々にする
ご家族にうつさないよう、タオルや帽子、くしの共有は 絶対に避けてください。
最も大切なのは、症状が良くなっても自己判断でお薬を やめないことです。最近では薬が効きにくいカビの出現も 問題になっています。菌が完全にいなくなるまで治療を 続けないと再発のリスクがあるため、医師の指示を必ず 守りましょう。













