頭蓋骨陥没骨折
頭の骨が、まるでピンポン玉のようにへこんでしまう骨折があることをご存知でしょうか。これは「頭蓋骨陥没骨折」と呼ばれ、交通事故や転落などの強い衝撃によって、脳を守る大切な骨が内側に陥没してしまう状態です。
骨のかけらが脳を傷つけると、命に関わる事態や深刻な後遺症につながる恐れもあります。海外の研究では、新生児の約0.03%に特殊な陥没骨折が見られるという非常にまれな報告もされています。
この記事では、頭蓋骨陥没骨折の原因から見逃してはならない危険な症状、そして治療法までを詳しく解説します。いざという時に冷静に対応できるよう、正しい知識を身につけておきましょう。
頭蓋骨陥没骨折の概要
頭蓋骨陥没骨折とは、頭の骨の一部が内側にへこんでしまう骨折のことです。 交通事故や転落、スポーツなどで頭に強い衝撃が加わったときに起こります。
頭の骨は、体全体の司令塔である脳を守る、とても大切なヘルメットです。 このヘルメットが内側にへこむと、骨のかけらが脳を圧迫したり傷つけたりします。 その結果、深刻な後遺症につながる可能性があり、注意が必要な骨折です。
頭蓋骨陥没骨折のポイント
- どのような状態か 頭の骨が強い衝撃によって、内側に向かってへこんでしまった状態です。
- 主な原因 交通事故や高い場所からの転落、スポーツ中の激しい衝突などです。
- 危険性 骨のかけらが脳を圧迫・損傷し、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
特に、生まれたばかりの赤ちゃんの柔らかい頭には、特殊な陥没骨折がみられます。 これは「ピンポン骨折」と呼ばれ、ピンポン玉がへこんだような形をしています。 ある海外の研究によると、その発生率は新生児の約0.03%と非常にまれです。
多くは出産時に赤ちゃんを助ける器具を使ったことなどに関連して起こります。 しかし、特に原因がなくても自然に起こることも報告されています。 幸い、手術が必要になることは少なく、ほとんどは自然に治ることが多いです。
年齢にかかわらず頭を強く打ち、見た目にへこみがある場合は注意が必要です。 意識の状態がおかしいと感じたら、すぐに脳神経外科のある病院を受診しましょう。
頭蓋骨陥没骨折の種類
頭蓋骨陥没骨折は、頭の皮膚に傷があるかないかで、大きく2つの種類に分けられます。 この違いは、細菌が脳に入り込む危険性に関わるため、治療法を決めるうえでとても重要です。
- 開放性陥没骨折(かいほうせいかんぼつこっせつ) 皮膚が破れて、折れた骨が外の空気とつながっている状態を指します。 傷口から細菌が入り、髄膜炎といった脳の深刻な感染症を起こす危険があります。 そのため、緊急で手術が必要になることが多い骨折です。
- 閉鎖性陥没骨折(へいさせいかんぼつこっせつ) 頭の皮膚に傷がなく、骨折が体の中で起きている状態です。 感染のリスクは低いですが、骨のへこみ具合によっては脳を圧迫しているかもしれません。 CT検査などで脳の状態を詳しく調べる必要があります。
|
種類 |
皮膚の傷 |
特徴 |
|
開放性陥没骨折 |
あり |
骨折部分が外とつながり、細菌感染のリスクが高い |
|
閉鎖性陥没骨折 |
なし |
感染リスクは低いが、脳への圧迫に注意が必要 |
また、生まれたばかりの赤ちゃんには「ピンポン骨折」という特殊なタイプが見られます。 赤ちゃんの柔らかい頭の骨が、ピンポン玉のようにへこむ珍しい骨折です。 ある研究によれば、多くは自然に元の形に戻るため、手術が必要なことは少ないです。 その後の経過も美容的・神経学的に非常に良いことがほとんどだと報告されています。
頭蓋骨陥没骨折の原因
頭蓋骨陥没骨折は、狭い範囲にとても強い力が集中して起こります。 頭の骨が耐えられる以上の力が、一点にかかることでへこんでしまうのです。 原因は年齢によっても少し異なりますが、主に次のような状況が考えられます。
【大人や子どもの場合】
- 交通事故 車やバイクの事故で、頭をアスファルトなどに強く打ちつけたとき。
- 転落・転倒 階段から落ちたり、高い場所から転落したりしたとき。
- スポーツでのケガ 野球の硬いボールが当たるなど、スポーツ中に頭へ強い衝撃が加わったとき。
- 暴力 鈍器のような硬いもので、頭を殴られたとき。
【赤ちゃんに特有の場合】 赤ちゃんの頭の骨はまだ柔らかく、大人のように硬くありません。 そのため、大人とは少し違う原因で「ピンポン骨折」と呼ばれる骨折が起こります。 これは、出産時に赤ちゃんを助ける器具で頭に圧力がかかり、へこむ場合です。
ある海外の研究によると、この骨折は新生児の約0.03%と非常にまれです。 多くは出産時の影響が関係しますが、はっきりした原因がなく自然に起こることもあります。
頭蓋骨陥没骨折の症状
頭蓋骨陥没骨折の症状は、骨折の場所や深さ、脳への影響で大きく変わります。 症状は「頭の外見にあらわれる症状」と「脳のダメージによる症状」の2つです。 ぶつけた直後は平気でも、後から症状が出ることもあるため注意深く観察しましょう。
頭の外見にあらわれる症状
骨折そのものによって、頭の見た目に次のような変化が起こることがあります。
- 頭をぶつけた部分がへこんでいる
- 傷口から血が出ている
- 強い痛みや腫れがある
特に赤ちゃんの柔らかい頭では、ピンポン玉のようにへこむ骨折が見られます。 「ピンポン骨折」と呼ばれ、海外のある研究では発生率は約0.03%と非常にまれです。 多くは自然に治り、手術が必要なことは少ないと報告されています。
脳のダメージによる危険な症状
骨が内側にへこんで脳を圧迫したり傷つけたりすると、より危険な症状が出ます。 ご自身やご家族に以下の症状がないか、慎重に確認してみてください。
【脳のダメージが疑われる症状チェックリスト】
- □ 意識がはっきりしない、ぼんやりしている
- □ 呼びかけへの反応がにぶい
- □ 吐き気やおう吐を何度もくり返す
- □ 体がガクガクと震える(けいれん)
- □ 手足が動かしにくい、しびれている
- □ 言葉がうまく話せない
- □ 左右の瞳の大きさが違う
- □ 鼻や耳から透明な液体が出てくる
これらの症状は、脳が傷ついていることを示す危険なサインかもしれません。 例えば、鼻や耳からの透明な液体は、脳を守る「髄液」という液体が漏れている証拠です。 一つでも当てはまる場合は、命に関わる可能性もあるため、すぐに病院を受診してください。
頭蓋骨陥没骨折の検査・診断
頭を強くぶつけたとき、骨折が疑われる場合は精密な検査で頭の中の状態を確認します。 見た目だけではわからない脳への影響を調べるため、とても大切なステップです。 医師はまず、頭に傷やへこみがないか、優しく触って慎重に診察します。
その後、機械を使って頭の中を詳しく見る「画像検査」を行います。 この検査で、骨折の正確な場所や脳のダメージの有無をはっきりとさせます。 主に、以下のような検査を組み合わせて診断を進めていきます。
- CT検査 頭蓋骨陥没骨折の診断で、最も中心となる大切な検査です。 頭の中を輪切りの画像にして、骨のへこみ具合や脳の状態を立体的に調べます。 骨のかけらが脳を圧迫していないか、出血がないかなどを詳しく確認できます。
- レントゲン検査 骨折があるかどうかを、大まかに確認するために行われることがあります。 CT検査ほど詳しくはわかりませんが、骨全体の様子を見るのに役立ちます。
もし、けいれんなどの症状がある場合は、脳波検査を追加することもあります。 これは、脳の電気的な活動に異常がないかを調べるための検査です。
これらの検査結果を総合的に判断し、一人ひとりに合った治療計画を立てていきます。
頭蓋骨陥没骨折の治療
頭蓋骨陥没骨折の治療法は、大きく2つに分けられます。 「手術をしない方法」と「手術をする方法」です。 どちらを選ぶかは、骨のへこみの深さや脳への影響で慎重に決められます。
手術をしない方法(経過観察)
骨のへこみが浅く、脳を圧迫していない場合は手術をせずに様子を見ます。 特に赤ちゃんの「ピンポン骨折」では、手術をしないことがほとんどです。 ある海外の研究では、この骨折は新生児の約0.03%と非常にまれです。 手術が必要になった赤ちゃんは少なく、多くは自然に元の形に戻ります。 その後の経過も、見た目や脳の働きに問題ないことが報告されています。
手術をする方法
次のような場合は、脳を守るために手術が必要になることがあります。
【手術が考えられるケース】
- 骨のへこみが1cmよりも深いとき
- 骨のかけらが脳を圧迫しているとき
- 頭の中に血の塊(血腫)ができているとき
- 皮膚に傷があり、細菌が入る危険があるとき
- おでこなど、見た目が気になる場所の骨折のとき
手術には、目的別にいくつかの種類があります。
|
手術の種類 |
どんな手術? |
|
整復術(せいふくじゅつ) |
へこんだ骨を、元の正しい位置に戻します。 |
|
開頭血腫除去術(かいとうけっしゅじょきょじゅつ) |
頭の中にできた血の塊を取り除き、脳への圧力を減らします。 |
|
頭蓋形成術(とうがいけいせいじゅつ) |
なくなった骨の代わりに、人工の骨で頭の形を整えます。 |
どの治療法が良いかは、専門の医師が検査結果をもとに判断します。 頭を強くぶつけたときは、自分で判断せず、すぐに病院へ行きましょう。













