頭皮湿疹

頭皮のしつこいかゆみや、肩に落ちるフケ。「シャンプーが合わないだけ」と、市販薬で済ませていませんか?その不快な症状は、実は「頭皮湿疹」という皮膚の病気のサインかもしれません。放置すると、かゆみで眠れないなど生活の質(QOL)を大きく下げる原因にもなります。

「頭皮湿疹」と一括りにされがちですが、原因は乾燥やアレルギーだけでなく、皮脂をエサにする「カビ」の増殖や、ヘアカラー剤、意外なところではウィッグが引き金になることも。原因が異なれば、もちろん対処法も全く変わってきます。

この記事では、あなたの症状がどのタイプに当てはまるのか、その原因から専門的な治療法までを詳しく解説します。自己判断で悪化させてしまう前に、ご自身の状態と照らし合わせ、根本的な解決への第一歩を踏み出しましょう。

頭皮湿疹の概要

頭皮湿疹とは、頭皮にできる湿疹や皮膚炎をまとめた呼び名です。 原因や症状は人によってさまざまで、一つの病気ではありません。

本来、健康な頭皮は毛根が透けて青白く見え、かゆみもありません。 しかし、赤みやかゆみは、頭皮にトラブルが起きているサインです。

ご自身の頭皮の状態を、以下のリストで確認してみましょう。

  • 頭皮のチェックリスト
  • 頭皮が全体的に、あるいは部分的に赤くなっている
  • むずむずするような、しつこいかゆみがある
  • 小さなブツブツや、透明な水ぶくれができている
  • 乾燥して、フケのような白い粉が肩に落ちる
  • 患部がじゅくじゅくし、黄色いかさぶたができる

これらの症状は、髪の生え際や首すじ、耳の後ろにも現れます。 シャンプーが合わないことのほかに、意外な原因も隠れています。

例えば、ウィッグやヘアエクステンションも原因の一つです。 これらに使われる合成繊維や染料、香料などがアレルギー反応を起こし、 接触皮膚炎という湿疹につながることがあります。 ひどい場合には、湿疹だけでなく脱毛が起こることも報告されています。

かゆみで眠れないなど、生活に影響がある場合は放置せず、 早めに専門のクリニックへ相談することが大切です。

頭皮湿疹の種類

「頭皮湿疹」とひとことで言っても、原因や症状はさまざまです。 いくつかの種類に分けられ、それぞれ対処法が異なります。 ご自身の症状がどのタイプに近いか、確認してみましょう。

  • 脂漏性(しろうせい)皮膚炎
  • 頭皮のように皮脂の多い場所にできやすい、代表的な湿疹です。
  • 皮膚に普段からいるマラセチアというカビ(真菌)の増殖や、
  • 皮脂バランスの乱れが関係していると考えられています。
  • 最近の研究では、これらに加えて皮膚の防御機能の低下や、
  • 体を守る免疫システムの過剰な反応も原因とわかってきました。
  • 黄色くベタつくフケやかさぶたが特徴で、再発しやすいです。
  • 接触(せっしょく)皮膚炎
  • いわゆる「かぶれ」のことで、特定の物質が原因で起こります。
  • シャンプーやヘアカラー剤、整髪料などが頭皮に合わないと、
  • 刺激やアレルギー反応を起こして発症します。
  • 原因の物質が触れた部分にくっきりと、かゆみや赤みが出ます。
  • 皮脂欠乏性(ひしけつぼうせい)湿疹
  • 頭皮の皮脂が減って乾燥することが原因で起こる湿疹です。
  • 皮膚を守るバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなります。
  • その結果、少しの刺激で強いかゆみを感じやすくなります。
  • パラパラとした乾いたフケが出るのも、このタイプの特徴です。
  • アトピー性皮膚炎
  • もともと皮膚のバリア機能が弱い体質の方にみられます。
  • 強いかゆみを伴う湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
  • 頭皮だけでなく、ひじやひざの裏など体の他の部分にも、
  • 同様の症状が出ることが多いのが特徴です。

頭皮湿疹の原因

頭皮湿疹の原因は一つではなく、いくつかの要因が絡み合っています。 ご自身の生活習慣と照らし合わせながら、原因を探ってみましょう。

  • 脂漏性(しろうせい)皮膚炎の原因
  • 皮脂をエサにするマラセチア菌というカビ(真菌)の増殖が、
  • 原因の一つとしてよく知られています。
  • しかし、カビだけが悪さをしているわけではありません。
  • ストレスや寝不足、ホルモンバランスの乱れなどによって、
  • 皮脂の分泌が過剰になることが、カビの増殖を助けてしまいます。
  • 近年の研究では、体の防御システムである免疫の過剰な反応や、
  • 皮膚を守るバリア機能の低下も深く関わっていることが、
  • 明らかになってきています。
  • 接触(せっしょく)皮膚炎の原因
  • シャンプーやヘアカラー剤などが合わない「かぶれ」が原因です。
  • 原因物質が触れた部分にだけ、くっきりと症状が出るのが特徴です。
  • 最近では、ウィッグやヘアエクステンションの使用も増えており、
  • それらに使われる合成繊維の染料や接着剤、香料などが、
  • アレルギー反応を引き起こすことも報告されています。
  • 特にヘアケア製品では「香料」が原因となることが多いです。
  • その他の主な原因
  • アトピー性皮膚炎
  • もともと皮膚のバリア機能が弱い体質が関係しています。
  • わずかな刺激にも敏感に反応して、湿疹ができてしまいます。
  • 皮脂欠乏性湿疹
  • シャンプーのしすぎや年齢により、頭皮の皮脂が減って、
  • 乾燥し、バリア機能が低下することが原因で起こります。

頭皮湿疹の症状

頭皮湿疹のサインは、原因によって様々ですが、かゆみやフケだけではありません。 ご自身の頭皮の状態と照らし合わせられるよう、代表的な症状をまとめました。

【頭皮湿疹セルフチェック】

  • □ じっとしていられないほど、強いかゆみがある
  • □ 頭皮が全体的に、あるいは部分的に赤くなっている
  • □ パラパラとした乾いたフケ、または黄色くベタつくフケが出る
  • □ 小さなブツブツや、透明な水ぶくれができている
  • □ 黄色っぽい、脂っぽいかさぶたができる

これらの症状は、見た目の問題以上に、毎日の生活に影響をおよぼします。 特に脂漏性皮膚炎では、ベタつくフケやかさぶた、繰り返すかゆみが特徴です。 こうした症状が続くと、患者さんに大きな心理的な苦痛を与えることもあります。

実際に、頭皮の症状は生活の質(QOL)を大きく下げることが分かっています。 かゆみで夜中に目が覚めてしまったり、フケが気になって好きな服が着られないなど、 一つひとつの悩みは、日々の大きなストレスになりかねません。 ある研究では、適切な治療で頭皮の症状が改善すると、 生活の質も大きく向上することが示されています。

気になる症状が一つでも当てはまる場合は、我慢せずにご相談ください。 早めに専門のクリニックで診断を受け、適切な治療を始めることが大切です。

頭皮湿疹の検査・診断

頭皮湿疹の診断は、まず頭皮の状態を目で見る「視診」から始まります。 そして、症状について詳しくお話を聞く「問診」がとても大切です。

頭皮のトラブルは、似たような症状でも原因が違うことがよくあります。 そのため、見過ごされたり、間違った診断につながることも少なくありません。 自己判断せずに、原因を正確に突き止めることが改善への第一歩です。

問診では、原因を探るために次のようなことをお聞きします。

  • 症状はいつから? 急に始まったのか、ずっと続いているのかで病気の種類を推測します。
  • シャンプーや整髪料を変えた? かぶれ(接触皮膚炎)の原因を探るための、とても大切な質問です。
  • アレルギー体質ですか? アトピー性皮膚炎など、体質が関係しているかを確認します。

多くの場合、視診と問診で診断がつきます。 しかし、原因をはっきりさせるために、さらに詳しい検査が必要な場合もあります。 特にカビが原因の脂漏性皮膚炎は、他の病気と見分けがつきにくいことも。 そのため、必要に応じて以下の検査を行います。

検査の種類

内容

顕微鏡検査

フケや皮膚の一部を少しだけ取り、カビ(真菌)などがいないか顕微鏡で直接調べます。

パッチテスト

シャンプーなどが原因のアレルギー(接触皮膚炎)が疑われる場合に行います。

原因と考えられる物質を皮膚に貼り、反応を確認する検査です。

血液検査

アトピー性皮膚炎のように、アレルギー体質が関わっている可能性がある場合に体質を調べる検査です。

これらの診察や検査によって原因を正しく見つけ出し、 一人ひとりの症状に合った治療法を決めていきます。

頭皮湿疹の治療

頭皮湿疹の治療は、原因によって全く異なります。 自己判断で市販薬を使うと、症状が悪化することもあるため危険です。 まずは専門のクリニックを受診し、原因を正確に突き止めることが大切です。

治療の基本は、赤みやかゆみの原因である「炎症」を抑えることです。 この炎症を鎮めるために、ステロイドという種類の塗り薬が主に使われます。 症状の強さに合わせて、お薬の強さを適切に選んでいきます。

それに加えて、それぞれの原因に合わせた専門的な治療を行います。

原因の種類

主な治療薬

治療のポイント

脂漏性皮膚炎

(カビが関係)

・抗真菌薬

・ステロイド外用薬

カビの増殖を抑えるお薬と、炎症を鎮めるお薬を一緒に使います。再発しやすいため、日々のケアも大切です。

接触皮膚炎

(かぶれ)

・ステロイド外用薬

・抗ヒスタミン薬

まずは原因物質を避けることが第一です。強いかゆみには、かゆみを和らげる飲み薬も使います。

皮脂欠乏性湿疹

(乾燥)

・保湿剤

・ステロイド外用薬

頭皮にうるおいを与え、バリア機能を回復させます。炎症があればステロイドも併用します。

従来の治療でなかなか改善しない場合でも、新しい治療の研究が進んでいます。 例えば、しつこい脂漏性皮膚炎には、体の免疫システムの過剰な反応を抑える新しいタイプの治療薬(PDE4阻害薬など)が期待されています。 また、薬が効きにくいカビに対し、薬の成分をしっかり届ける新しい技術(ナノマテリアルなど)も研究されています。

さらに、乾癬など一部の重い頭皮の病気では、注射による治療(生物学的製剤)もあります。 この治療は症状を大きく改善させるだけでなく、生活の質(QOL)を高める効果も報告されています。 ご自身の症状に合った最適な治療法を見つけるためにも、まずは専門のクリニックへご相談ください。