感染性角膜炎

便利なコンタクトレンズですが、使用中に目の痛みやゴロゴロ感、充血を感じていませんか?「いつものことだ」と見過ごしているその不調は、角膜が発している危険なSOSサインかもしれません。

その症状の裏には、実は「感染性角膜炎」という病気が隠れている可能性があります。特にコンタクトレンズの不衛生な使用は、細菌やアメーバといった病原体の温床となり、感染の最大の原因となります。研究でも、衛生管理が難しい環境下での使用はリスクを高めると指摘されています。

治療が遅れると、角膜が白く濁り、視力に深刻な後遺症が残ることも。この記事では、大切な視力を守るために知っておきたい感染性角膜炎の原因から最新の治療法までを詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせ、早期発見につなげてください。

感染性角膜炎の概要

目の黒目の部分を覆う「角膜」は、とても大切な組織です。 カメラのレンズのように光を集め、ピントを合わせる役割があります。 また、外部の刺激から目を守るバリアの役割も担っています。

感染性角膜炎は、この角膜に病原体が入り込み、炎症を起こす病気です。 角膜にできた小さな傷が、病原体の侵入口となってしまいます。 主な病原体には、以下のような種類があります。

  • 細菌
  • コンタクトレンズの不衛生な使用で繁殖しやすいです。
  • ウイルス
  • ヘルペスウイルスなどが原因になることがあります。
  • 真菌
  • カビの仲間で、植物などで目を傷つけた際に感染しやすいです。
  • 寄生虫
  • アカンサメーバなど、汚れた水の中にひそんでいます。

特にコンタクトレンズの使用は、感染の大きな原因の一つです。 レンズで角膜が覆われると、酸素が不足し角膜が弱くなります。 研究でも、衛生管理が難しい環境でのコンタクトレンズ使用は、 感染性角膜炎のリスクを高めることが指摘されています。

実際に、砂漠や水中といった過酷な環境で活動する人々を対象にした調査では、 コンタクトレンズが原因の感染症が多く報告されています。 治療が遅れると視力に後遺症が残るため、早めの眼科受診が重要です。

感染性角膜炎の種類

感染性角膜炎は、原因となる病原体の種類によって分けられます。 原因が違うと効く薬も変わるため、正しく見極めることが重要です。 主に、以下の4つの種類があります。

種類

主な原因となる病原体

特徴

細菌性角膜炎

ブドウ球菌、緑膿菌、ノカルジア菌など

最も多いタイプです。特にコンタクトレンズの不衛生な使用が原因となります。

真菌性角膜炎

カンジダ、アスペルギルスなど(カビの仲間)

植物の枝で目をつくなど、ケガをきっかけに発症します。治療に時間がかかることもあります。

ウイルス性角膜炎

単純ヘルペスウイルスなど

疲れやストレスで、体内に潜んでいたウイルスが活動を始めて発症することがあります。

アメーバ角膜炎

アカンサメーバ

水道水やプールに潜み、コンタクトレンズを介して感染します。治療が難しい角膜炎です。

特にコンタクトレンズは、細菌やアメーバの感染リスクを高めます。 研究によると、砂漠や水中といった衛生管理が難しい環境では、 コンタクトレンズが原因の角膜炎が起こりやすいと報告されています。

また、目の痛みや充血は、感染症以外の病気のサインかもしれません。 例えば「遺伝性一過性角膜炎」は症状がとても似ています。 ある研究では、この病気は感染症と誤診されやすく、 正しい診断まで非常に長い年月がかかることもあると指摘されています。 自己判断で目薬を使わず、すぐに眼科を受診することが大切です。

感染性角膜炎の原因

感染性角膜炎は、目に見えない小さな「ばいきん」が原因です。 普段、目の表面は涙のバリアで守られています。 しかし、角膜にできた小さなキズが、ばいきんの侵入口となります。

感染の主なきっかけには、以下のようなものがあります。

  • 目のキズ(外傷)
  • 目をこすったり、ゴミが入ったりしてできたキズから、
  • 細菌などが侵入し、角膜炎を引き起こします。
  • コンタクトレンズの不適切な使用
  • 感染性角膜炎の最も多い原因の一つです。
  • 洗浄が不十分なレンズは、ばいきんの温床になります。
  • レンズをつけたまま寝る行為も角膜を傷つけ、大変危険です。
  • 実際に、軍隊のような過酷な環境下での研究でも、
  • 砂漠や水中でコンタクトレンズを使うと、
  • 感染症のリスクが高まることがわかっています。
  • キャンプなど、衛生を保ちにくい場所でも注意しましょう。
  • 汚染された水との接触
  • プールや川、お風呂の水が目に入ることも原因です。
  • 水中にはアカンサメーバなどの寄生虫が潜んでいます。
  • 体の抵抗力の低下
  • 疲れやストレスで免疫力が落ちているときも要注意です。
  • 体内に潜んでいたヘルペスウイルスが、
  • 再び活動を始めて角膜炎を起こすことがあります。

感染性角膜炎の症状

感染性角膜炎になると、目にさまざまなSOSサインが現れます。 黒目の表面にある角膜にばいきんがついて炎症が起こると、 次のような症状が出ることがあります。

自分の目に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

  • 目の痛みやゴロゴロ感
  • 目にゴミが入ったような感じがしたり、ズキズキ痛んだりします。
  • 目の充血
  • ばいきんと戦うために血液が集まり、白目の部分が赤くなります。
  • 視界のかすみ・視力低下
  • まるで、すりガラス越しに見ているように視界がぼやけます。
  • 光がまぶしい
  • 普段は平気な光でも、いつもよりまぶしく感じやすくなります。
  • 涙や目やにが増える
  • ばいきんを洗い流そうとして、涙や目やにがたくさん出ます。

これらの症状は、角膜が傷ついているという危険なサインです。 放置すると角膜が白く濁り、視力が元に戻らなくなる恐れがあります。

特に注意したいのは、これらの症状が他の病気と似ている点です。 例えば、目の内部に炎症が起こる「ぶどう膜炎」や、 遺伝的な体質が関わる病気と間違われることがあります。

ある研究では、似た症状を持つ病気が正しく診断されるまで、 非常に長い年月がかかったケースも報告されています。 自己判断で市販の目薬を使うのは絶対にやめましょう。

一つでも当てはまる症状があれば、すぐにコンタクトレンズを外し、 できるだけ早く眼科を受診して、専門家の診断を受けることが大切です。

感染性角膜炎の検査・診断

感染性角膜炎が疑われる場合、まず原因を突き止めることが重要です。 原因のばいきんによって効く薬が全く違うため、検査は欠かせません。 視力を守るための、いわば「犯人捜し」のようなものです。

眼科では、主に次のようなステップで検査を進めていきます。

  • お話を聞く(問診)
  • いつから、どんな症状があるか、コンタクトの使用状況、
  • 最近、目にケガをしなかったかなど、詳しくお伺いします。
  • 視力検査
  • 病気の影響で視力がどのくらい落ちているかを確認します。
  • 治療の効果をみるための大切な指標にもなります。
  • 目の顕微鏡検査(細隙灯顕微鏡検査)
  • 「スリットランプ」という特別な顕微鏡を使います。
  • 角膜に光の帯を当て、キズの深さや炎症の広がりを観察します。
  • 原因のばいきんを特定する検査
  • 痛くないように麻酔の目薬をした後、
  • 綿棒などで角膜の表面をそっとこすり、原因菌を採取します。
  • 採取した菌を顕微鏡で観察したり、培養(菌を増やして種類を特定)したりします。

注意が必要なのは、症状が感染性角膜炎とよく似た他の病気です。 例えば、目の中で炎症が起こる「ぶどう膜炎」や、 遺伝が関係するまれな病気と間違われることがあります。

ある海外の研究では、感染症と似た症状を持つ遺伝性の病気が、 正しく診断されるまで平均で10年以上かかった例も報告されています。 自己判断で市販薬を使わず、眼科で正確な診断を受けることが大切です。

感染性角膜炎の治療

感染性角膜炎の治療は、原因のばいきんを退治することが基本です。 原因によって効く薬が全く違うため、自己判断はとても危険です。 視力を守るため、眼科で正しい治療を早く始めることが重要になります。

治療の主役は、原因に合わせた目薬(点眼薬)です。 医師の指示通りに、根気よく目薬をさし続けることが大切です。 時には1日に何十回も、寝ている間も点眼が必要になることがあります。

原因のばいきん

主な治療薬

細菌

抗生物質の目薬

真菌(カビ)

抗真菌薬の目薬や飲み薬

ウイルス

抗ウイルス薬の目薬や飲み薬

アメーバ

抗寄生虫薬の目薬

さらに、治療法は日々進歩しており、新しい選択肢も増えています。

  • 光を使った治療法(光線力学療法)
  • 角膜に特殊な光を当てて強くし、ばいきんの力を弱める方法です。
  • 特にカビが原因の場合、治るまでの期間を短くできるという研究結果があります。
  • 薬を届ける新技術(ナノマテリアル)
  • 薬をとても小さな粒子に入れ、悪い場所だけに届ける研究も進んでいます。
  • 将来、より少ない薬で高い効果が期待できるかもしれません。

薬の治療で治らない場合や、角膜の濁りで視力が戻らないときは、 濁った角膜を取り替える「角膜移植」という手術を検討します。 人の角膜を移植する方法が一般的ですが、世界的に数が足りていません。 そのため、重症な場合には「人工角膜」という選択肢もあります。 「ボストンKPro」など、世界で広く使われている人工角膜もあります。